契約結婚!一発逆転マニュアル♡
どうしてこの人と一緒にいると、簡単に翻弄されてしまうのだろう。

あっという間に感情を乱されて、変えさせられて。

普通に生きていれば、絶対に結婚なんてできる相手ではなかった。

ましてや好きになることなんてなかった人なのに。

今では素直に好きだなぁって思ってしまう。

私こそ、遥翔さんと結婚してよかった。

こんなに大切にしてもらえるなんて思いもしなかった。

もっと近くに行きたい。

もっと触れあいたい。

ベッドで眠るときだけじゃなくて、今こうしているこの時でも。

遥翔さんに抱きしめてほしい。

出来ることならばもっとその先にあることまで考えてしまう。

自分から遥翔をもとめてしまったら、ふしだらだと思われてしまうのが怖く、依舞稀は心に溢れる思うの一つも言葉にできないのだ。

それでも勇気というものは表に出さなければ何の意味もない。

言葉にし、行動しすることで初めて意味を成す。

だとすれば、依舞稀は今、勇気を出すべきなのだ。

依舞稀は意を決して立ち上がると、アルコールで少しふらつきながら遥翔の側に歩いて行った。

「大丈夫か?フラフラだぞ?」

遥翔はそっと依舞稀の腕を取り支えた。

「大丈夫じゃないかもしれないです……」

依舞稀はそういうなり、覆いかぶさるように遥翔を抱きしめた。
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