契約結婚!一発逆転マニュアル♡
「少しは変わりましたか?」

依舞稀が軽く身を乗り出して遥翔に問いかけると、彼は苦笑いをした。

「依舞稀は意地悪だな。それはお前が一番わかってるだろ?身をもって感じてるだろ?」

そう答えらると、昨夜の余韻が残った依舞稀の身体が僅かに火照った気がした。

「意地悪なのは遥翔さんじゃないですか」

頬を染めて恥ずかしそうに視線を逸らす依舞稀を見ていると、もうこのまま出勤したくなくなってしまう。

「そんな顔されたら、我慢できなくなるけど?」

遥翔からそう言われ、依舞稀はぎょっとした。

「まだっ!?」

この男はどんな体力をしているのだろうか。

あれだけ求めたくせに、まだその気になれるとは……。

「依舞稀に触れられる距離にいれば、いつだって触れたいと思うのは当然だろ?今だってベッドルームに引き返したい」

なんともストレートすぎる物言いじゃないか。

女として、ここまで自分を欲して求めて来てくれる遥翔を、依舞稀は本当に愛おしく思った。

「ここまで身支度しておいて、連れ戻されたら堪りません」

今日は化粧も綺麗にのったし、いつもより髪もサラサラでいい感じだ。

これを乱されるようなことは避けたい。

そう思った依舞稀は、つつ……っと遥翔のそばまで近づいて。

ちゅ……。

背伸びをして遥翔の頬に口付けた。

「っ!」

心底驚いたように目を見開き、耳を赤くした遥翔の姿を見て、依舞稀も負けないくらいに頬を染めた。

「今はこれで我慢してください」

上目遣いにそんな可愛いことを言われてしまったら、「ハイ」としか言えなくなってしまう。

くそう……。

少しでも早く切り上げて、思いっきり抱いてやる。

胸焼けするほど甘い、依舞稀と遥翔の朝の一コマであった。
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