契約結婚!一発逆転マニュアル♡
今日の依舞稀の一日はかなりハードなものであった。

打ち合わせは勿論のこと、溜まっていた事務処理や企画書の修正。

新しいイベントの会議、翌日の予約の確認に会場チェック。

やらねばならないことが多く、とにかくバタバタしていた。

何度か遥翔から連絡は来たものの、簡潔な返事を返すのが精いっぱいだ。

2人の時間もかみ合わず、ランチも休憩も一緒に取る事は叶わなかった。

最終的に朝顔を合わせたきり、終業時間になってしまった。

いつもならば殆ど残業することなく退勤するのだが、今日の依舞稀は定時を過ぎてもデスクのPCと向き合っている。

時間を気にすることなく残業ができるのだ。

こういう時に前倒しできることはやり終えておきたい。

依舞稀が残業になるときはいつも、遥翔も仕事をしながら待ってくれている。

けれど自分の時間に合わせてもらうのは申し訳なく感じるものだ。

効率よく仕事をこなし、大した残業なく退社するのが一番いい仕事の仕方と言えよう。

しかし今日は久し振りに仕事にどっぷりつかっている。

「まだいたの!?」

資料室から戻ってきた璃世に驚かれながらも、依舞稀はキーボードを打つ手を止めない。

「今日は遥翔さんが会合で帰りは一人なの。できることは先に終わらせちゃわないと、明日からまた早く帰れないから」

「旦那さんに合わせて仕事するなんて、健気だね~」

からかうような口調な璃世に、依舞稀は「そうじゃないけど……」と苦笑いで返した。

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