契約結婚!一発逆転マニュアル♡
スマホのアラームで目を覚ますと、すぐそばには遥翔がいる。

完全に目を覚ましていない遥翔は、依舞稀をきゅっと抱きしめた。

これが二人の日常。

遥翔の寝顔を見つめていると、まるで昨夜のことが夢であったかのように思えてしまう。

やっと遥翔と心が通じ合い、これからだという時に突如現れた光星。

今さら過去に引き戻されたくない。

このまま引き下がってくれることを願うのみだ。

遥翔の腕の中を十分堪能した依舞稀は、こっそり寝室を出て顔を洗い化粧を施す。

遥翔をキスで起こして、遥翔の身支度中に朝食の準備をする。

遥翔と二人で朝食を食べ、出勤のために家を出た。

途中コンシェルジュと鉢合わせにならぬようにとの祈りが通じたのか、誰にも会うことなく車に乗り込みマンションを出ることができた。

昨夜、光星がいた電信柱の影が気になったが、もちろんそこに人影なだはない。

ほっと一息ついたところで、「さっきからどうしたんだ?」と不意に遥翔から声を掛けられた。

「え?」

「今日はなんだかそわそわしてるぞ?」

「そんなことないですよ?」

「依舞稀のことなら何でもわかる。なんてったって俺は依舞稀しか見てないからな」

「そんな恥ずかしいこと言わないでください……」

自分の頬が赤くなるのを感じて、依舞稀はそっと頬を包み隠した。

最近の遥翔は本当にストレートに言葉を発する。

思ったこと感じたことを全部言葉で表してくれるのだ。

あまりにも言われ過ぎて、依舞稀の方が愛情表現をしにくくなるほどに。
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