契約結婚!一発逆転マニュアル♡
思いもよらない依舞稀の反撃に、光星の頭は真っ白になった。

突如自分の前に現れて依舞稀の現在の状況を語り、彼女が助けを求めていると言ってきた女の話を元にシミュレーションしてきた。

ここで依舞稀は自分の手を取って二人でこの場を去り、地元に帰って二人で仲睦まじく生活する。

こうなるはずであったのに。

依舞稀のこの剣幕はいったいなんだというのだ。

「依舞稀、僕に迷惑をかけるからと思っているのなら、何も気にしなくていいんだよ?」

無理やり結婚をさせるような男だ。

もしかしたら僕を気遣ってこんなことを言っているのかもしれない。

光星はそんなめでたいことを考えていたのだが。

「笑わせないで」

どうやら本当にそうではなかったようだ。

「そんなこと考えたこともないわ。今までもこれからも、光星に頼るつもりはない。今後一切、光星と関りを持とうとは思ってないから」

「そんな言い方ないだろう?僕は依舞稀のことを思って……」

「私が頼んだわけじゃないでしょう?」

これ以上、光星の自分に酔った台詞なんて聞きたくもない。

「いいように言いくるめられてノコノコ出てきたんでしょうけど、本当に迷惑だから帰ってくれる?」

よくよく考えたら、光星は昔からこうだった。

自分のいいように物事を解釈し、人の気持ちを深く考えない。

自分の脳内で作り上げたシナリオが全てだと素直に思える、おめでたい人間。

それが昔から変わらない、日村光星という人間なのだ。
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