契約結婚!一発逆転マニュアル♡
第五章

反撃の刃

「依舞稀の気の済むようにしたらいい」

遥翔は何一つ悩むこともなく依舞稀にそう告げた。

昨夜は遥翔との情事の後に気を失う形で眠ってしまったため、遥翔とゆっくり話す時間もなかった。

それ故に辰巳彩葉に対する対応について、朝食を食べながら遥翔と話していたのだ。

「俺なら身包みはがして島流しにでもするけどな」

それが当たり前だろう?とばかりにサラリと告げるものだから、依舞稀は乾いた苦笑をする。

「そんな力は私にはないです」

ただの一社員の自分には大した力はない。

せめて昨日の経緯と、ハッキリとした言葉での怒りをぶつけるしかない。

回りくどくなく、真正面からぶつかって跳ね返すしかないのだ。

それでも彩葉に効果がなかった場合は、遥翔に動いてもらおう。

それが自分にできる最善のことだと思っていた。

しかし遥翔は「なんでだよ」と笑った。

「力は誰よりも待ってるだろう?ホテルキリガヤの副社長の妻で、桐ケ谷グループ一族なんだぞ?これ以上の権力はないじゃないか」

「そんな。それは全部遥翔さんの力で、私はある日突然それにぶら下がっただけじゃないですか」

「ぶら下がり……」

依舞稀の発想にツボったのか、遥翔は横を向いてブハッと吹き出した。

そこは笑ってはいけないところだったんじゃないだろうか。

「どんな理由があったとしても、俺が持つ力は全てお前のものだ。全てをひけらかして、ぐうの音も出ないようにやってしまえ」

遥翔は依舞稀にニヤリと笑ってみせた。
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