契約結婚！一発逆転マニュアル♡
依舞稀は放心状態のまま、副社長室の大きなソファーに腰掛けていた。

ここに連れられてきたはいいけれど、遥翔は依舞稀を座らせて八神と何やら話し込んでいる。

依舞稀を置いて進んでいく話だが、しっかりと聞こえる距離であるため、大体の内容は把握できた。

「よし、じゃあそれでいこう」

「了解しました。きっとこのメールを目にすればすぐにでも動き出すでしょう。あまり時間はありません」

「そうだな。依舞稀」

唐突に振られた会話に、「はいっ」と声が裏返りながら返事を返した。

「ある程度のことは理解できたかもしれないが、これで一番重要なのはお前の出方だ。絶対に怯むんじゃないぞ？」

「同じセリフでも副社長が言うのと依舞稀さんが言うのでは大きく違います。宜しくお願いしますね？」

2人は簡単だと言いたげだが、依舞稀にとっては聞けば聞くほど自分の役割が大きくて、逃げたくなるほど緊張する。

本当ならばここではなく自分の部署で、このメールについて責め立てられパニックになっていたかもしれない。

それを遥翔がここに連れて来てくれた。

この計画が済んだら、一緒に依舞稀の部署でメールな内容を遥翔が説明し、それを社内PCに一斉配信して解決するというのだ。

どういう内容での説明になるかはわからないけれど、少なくとも依舞j稀自身が上手く説明もできずに不安気でいるよりも確実に早く解決できる。

「迅速な解決のためにも、しっかりな」

「頑張ってはみますけど……」

そう言って依舞稀が肩をすぼめた時、副社長室の扉がノックされた。
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