契約結婚！一発逆転マニュアル♡
その傲慢な態度を遥翔が黙認するはずもない。

「お前は依舞稀を下に見ているようだが、それは大きな間違いだ」

鋭い視線で辰巳を睨みつけて、遥翔は一言そう言った。

辰巳の態度の全てが気に入らなかったが、極力感情を抑えて遥翔は不敵に笑った。

「依舞稀の一言でお前を飛ばす事もできるんだぞ？」

昨夜依舞稀にも言った台詞を、再び辰巳の前で繰り返す。

社長が引退した今、副社長である遥翔の次に自分が権限を持っていると思っているだろう。

確かに役職だけ見ればその通りなのかもしれないが、それを行使してやる必要はない。

「なにをバカな……」

娘から得た情報をもとに、副社長の足元を掬ってやろうと息巻いて来たまではよかったが、どうも旗色が悪い。

自分の顔色も悪くなってきているのに気付き、辰巳は口籠った。

「バカなことだと本当に思うか？」

「業務違反を犯した人間に何も言えるはずがないでしょう？本当ならば彼女がここにこうしていることの方がおかしいのですよ？」

業務規程に違反した人間にそのような権利はない。

辰巳はそう信じて疑わなかった。

< 170 / 230 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop