みえない光りを探す君を、愛おしいと思った。
すぐに着替えて、荷物をカバンに詰め、挨拶をしてから茉莉の元に向かう。





「よしっ!お待たせっ!帰ろっ!!」





「うんっ!!」





駅までの薄暗く静かな道を、ゆっくりと並んで歩く。

隣にいる安心感と、心地よい沈黙。

交わす言葉はそこまで多くない。
でもすごく楽しくて幸せを感じる。

この時間が好きだ。



駅に着いて電車に乗る。
茉莉と俺の最寄駅は2つほど離れている。
一緒に帰る時は、茉莉の最寄駅で降りて、家まで送っていく。

[ほんとにいいの?
いつもありがとっ]

茉莉は慣れないみたいで、必ずこう言う。
俺が少しでも長く茉莉と一緒に居たいだけだから、全然苦じゃない。


「久しぶりだな〜、野中とこの道歩くの」


「そうだな〜
試合続きで長時間練習の日が多かったからな〜」


「あの顧問の先生、試合前になると顔が鬼みたいだもんね〜」


「そうそう、ちょーピリピリしてて近づけねぇ」



「あら、茉莉ちゃん」



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