遠く、近く、君を。

｢さようなら。｣
17年間住んできた家に静かに告げたわたしはある分だけのお金を持って歩き出した。
わたしの名前は水瀬 愛(みなせ あい)。高校2年生だ。
普通の高校生ならこの時間帯は学校へ向かっているだろうが、もうわたしが学校へ行くことはない。
そう、わたしは家出している最中なのだ。
原因は母親。生まれて1回も母親に愛を受けずに育ったわたしは孤独で寂しい日々を送っていた。そして昨日、出来事が起こった。
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いつも通り学校から帰ってきたわたしはだれもいないリビングでご飯を食べていた。