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人々はよく、他者の色恋沙汰に関心を向けていると思う。
テレビをつけたらアイドルの熱愛報道やあのおしどり夫婦の不倫報道。どこの誰かも分からない記者が意気揚々とネタを語る姿には、正直、身の毛がよだつ。ザザーーッて感じ!

皆そんなに恋愛が好きなのか…??
テレビも程々に、この春新しく入った塾に行く準備を始めよう。

「これは事務所関係者の方から聞いた情報なんですけど、河野さんはご自身のモデルの仕事もありながら彼である山下さんの為に毎日現場まで車で送ってあげているそうですよ」

恋愛なんて必要ない。大体、どうして他人の為に自分の時間を費やさなければならないんだ。自分の人生は、自分の為に使うべきだよ。資料集、教科書、筆箱………忘れ物が無いようにリュックの中身を確認する。

「あんたって本当こういうの興味無いよね。ちょっとは女の子らしくなったらいいのに。」
「いやいや、お母さん、恋愛が全てじゃないから! ほら行くよ〜」
「あぁちょっとまって、お父さんが言ってたやつ録画予約しとかなくちゃ」

そういや昨日の晩、仕事で間に合いそうにないからドラマ録っておいてーなんて言ってたっけ。


「えーっと……これこれ。『ごめんなさい、恋しちゃいました』。 後で私も観よーっと」
「げっ! お父さんそんなの観るの?」
「あら、知らなかった?お父さん、結構こういう系の観てるわよ」
うわー、引くわ……






塾まではかなり距離があり、車で1時間ほどかかる所にある。近くに塾が無かった訳ではないけど、なにせ、同じ学校の人と一緒の塾に行くのが嫌で仕方がなかった。塾には毎回母が車で送ってくれるが、距離と時間の関係から週に1回のペース。今日は、中学に入学してそうそうの学力テストの結果を塾長に言わなければならない。

「学校は楽しい?」
「うん、まあまあ楽しいよん」
「良かった。いじめとか嫌がらせとかは大丈夫?」
「大丈夫!」
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