片思いのあなたに再会してしまいました
彼女たちとは会いたい。
私の事情を理解した上で、サークルの会合に顔を見せないことも、仕事に打ち込んでいることもそれなりに理解してくれている。
それに、昨日あった出来事はいくらなんでも私1人では抱えきれそうにない。
お誘いがなくても近日中にこちらから声をかけようと思っていたくらいである。

『私も今日は平気だよ〜。お義母さんが面倒を見てくれるらしいから。』

彼女は珍しく嫁姑関係に恵まれた方である。
むしろ旦那のほうがあわないかと文句を言っているくらい。

というわけで緊急女子会が決定した。
1年ぶりくらいだろうか。
沈んでいた気持ちが、少し浮上したような気がした。


＊
沙織が予約してくれたのは、リーズナブルな価格でワインとタパスが楽しめることで人気なスペインバルだった。
長らく地方にいた私にはこういうお店がよくわからないからありがたい。

「昔は詩織がお店の予約担当だったのにねぇ。」

沙織は既に少し出来上がっているようだ。
予想外に今日は少し残業になってしまい40分ほど遅刻したからである。

「私は5年の地方生活ですっかりそういう感覚が鈍っちゃったよ。なんか落ち着かないもん。」

「でも前にあった時よりもさらにできる女って感じになったよ。まずは東京本社配属おめでとう。」

女3人で乾杯。
懐かしくて嬉しい。
昔は私もお酒がそんなに飲めなくて、3人ともカシスオレンジとか甘いカクテルばっかりだったけれど今ではワインを嗜むようになった。
まあ二杯目からはビールを飲むけど。

まずはお互いの近況報告。
沙織は保険の営業をやっていて、ずっと転職したいと言いつつも辞めていない。
上司が嫌な奴という話は相変わらずである。
真帆は子供を産んで今は育休中である。
もともと専業主婦になる！を宣言していた彼女だから仕事には復帰しないのではないかと考えていたがそうは言ってられない経済事情らしい。

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