片思いのあなたに再会してしまいました

思いを伝えられない苦しさからもう無理だと逃げた自覚はある。

会うたびに心は痛かったけれど、必死に想いに蓋をして、次の恋愛をしてみようかな、なんて言ってみたりもした。

最後のチャンスはサークルの追い出しコンパだった。
スーツを着た彼は本当に格好良くて、私はたくさんの感情が溢れ出て思わず泣いてしまったけど、先輩たちとお別れするのが悲しいんです!と半分本当、半分嘘の言葉を吐いた。
沙織と真帆が気を使って私達を2人きりにしてくれたけど、それでも私は何も言えなかった。

きっと恭さんは私の気持ちには気付いてる。
デートにもたくさん誘ったし、LINEも切れないようにずっとしていたし。
今目の前で何も言えずに耳まで赤くしているであろう私を見て何も気づかないはずはないのだ。
その上で何も伝えてこないということは、それが恭さんの答えだという気がしてますます言い出せなかった。

去り際に私のもとへやって来て、

「就活頑張れよ。石田ならできるから。フタバに行けるといいな。」

私の頭をガシガシと撫でながら、笑顔でそう言ってくれた。

好き、好き、好き、大好き。
溢れ出しそうな感情は涙にしかならなかった。
去っていく後ろ姿、言えなかった想い。
苦しくて仕方がなかった。

それから私は必死で就職活動に取り組んだ。
苦しい思いから逃げ出すために、違うことに夢中にならなければやっていけなかった。
先輩が応援してくれたから、絶対に第一志望のフタバフーズに入ろう。
脇目も振らずに取り組み続けて、しっかりと結果は伴った。
私はフタバフーズから内定をもらうことができた。
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