片思いのあなたに再会してしまいました

約5分後に恭さんはやって来た。

第一印象が大事!
鍛えられた営業スキルのお陰で気まずさはあったもののしっかりと挨拶することができた。
今日は仕事ができるビジネスパートナーとして私を見てもらうことを目標にやって来たのだ。
私のあくまでもビジネスという態度を徹底した。
5年間バリバリ営業の仕事し続けて良かった。
ちゃんとここで発揮できたよ。

心の中でガッツポーズをしながら、日野さんを交えつつ軽く世間話をする。
2人きりじゃ空気に押しつぶされそうだが、日野さんがいるから私も気安く話すことができた。

話題は早速ビジネスのことへと移り、先日お話しした件ですが、と今秋のコラボフェアについて詳しい話し合いがなされた。
我々も用意して来たアイデアをお話しすると、なかなかいい反応である。具体的に詰めたことが功を奏した。
先週おおまかな説明は受けていたものの、1週間のうちに状況が変わったものもあるのだろう、変更点も多少あったためにアイデアの練り直しも必要だなと感じた。
しっかりと逐一メモに取りつつ、こちらの要望も伝える。
この駆け引きが難しいがやりがいでもある。

気まずいと思っていたけど、私ちゃんとお仕事として割り切れているんじゃないだろうか。
やはり自分の考えた提案が通って欲しい、そういう気持ちが強いからだろうか。
ちょっと杞憂だったかも。

商談は終始滞りなく進み、次回までの課題点をしっかりと洗い出したところでお開きとなった。

「それでは今度は2週間後ですね。おそらく私はそれが最後になると思いますから。よろしくお願いいたします。」

日野さんがそう告げるときょうさんは寂しそうな顔をしてあっという間ですねと感慨深げだ。
< 18 / 60 >

この作品をシェア

pagetop