片思いのあなたに再会してしまいました
「そういうことでしたら。ご相談にのっていただけるのはありがたいです。はい、では明日の夜ですね、2人でいいんですか?はい、わかりました。失礼致します。」

片倉さんが以前の相談の続きも兼ねて食事に誘ってくれた。
彼はできる先輩だし、いろいろと話を聞いて盗めるものは盗みたいところだ。

「デートの約束?」

恭さんからそんな恐れ多い質問が飛んできたので全力で否定しておいた。

「まさか!職場の先輩が相談会兼食事会ということで誘ってくださっただけです。同じエブリデイの担当なので、柴田さんもお会いしたことがあるんじゃないですかね、片倉了というんですが。」

「ああ、片倉さんか。彼仕事ができるってこちらでも有名ですよ。」

同じ職場の先輩を褒められるのはなんとも気持ちがいい。
自分のことではないがありがとうございますなどと言ってみた。


「あのさ、この前の約束は覚えてる?」

恭さんからこう尋ねられたものの、はて約束とは?と思っていると

「この前の商談の終わりに、飲みに行こうって言った話だよ。」

「…………ああ、あの、社交辞令かなと思っていたんです。」

「んなわけないだろ。石田と俺の仲だぞ。別に飲みに行くくらい普通だろう。」

いまだに良好な先輩後輩の関係だと思っていてくれることは嬉しいけど、私の気持ちは全く届いていなかったということに悲しくもあった。
まあ伝えていないのだから仕方がないけれど。

「そ、そうですね。ではぜひ。」

2人で飲みに行くなんて、自分の感情がどうなってしまうのか想像がつかなくて怖い。
でもこれからのビジネスパートナーとして今飲みに行くことは悪いことではない気がする。

あくまでもビジネスパートナーとして了承を伝えたところ、じゃあ今日暇?と聞かれてしまった。

なんと、行動的なことか………
< 21 / 60 >

この作品をシェア

pagetop