片思いのあなたに再会してしまいました
*
コンペが8月の上旬に行われたということもあり、恭さんとの商談がないままお盆休みを迎えた。
せっかく仕事が成功して恭さんとのビジネスパートナーとして関係も上手く築けたと思っていた矢先に、また気まずくなってしまうなんて。
そして何よりも不安だったのは自身の恭さんへの想いがまた燻りだしてしまったことだった。
電話口での恭さんの切なげな声を聞いた時、胸が締め付けられるような思いがした。
順調に恭さんへの気持ちを忘れていけていると思っていたのに。
それでもこのお盆休みの間でしっかりと気持ちの整理ができるとそう思っていた。
しかし困難な課題は急に降りかかってくるものである。
お盆休み初日、溜まった録画を片付けてしまおうと家でくつろいでいると、大学時代のサークルのLINEが動いていた。
『明日の同窓会、18時に新宿 居酒屋松丸』
そのメッセージを見て愕然とした。
わ、忘れてた…。
7月中旬頃、お盆休みに同窓会をやるとの知らせを受けて、私は確かに出席すると幹事に告げていた。
今更断ることなんかできないし、みんな久しぶりに私の顔を見られるのをすごく楽しみにしていると言われてしまった。
おそらく恭さんも参加するだろう。
「ああ、どうしよう…。」
口をついた情けない独り言が静かな部屋にこだました。
*
憂鬱な気持ちを拭い去れないまま、無情に時はすぎるもので。
重い足取りで会場にやって来ると、既にほとんどのメンバーが集まっていた。
時間にルーズな人が多いサークルだったが、皆社会人となって改善されたようだ。
私が座敷に近づくと、一学年下で可愛がっていた湊と目が合った。
「詩織さん!久しぶりっす!うわあ、なんか感動する!」
湊の大声で一斉にみんながこちらを向き、実に5年ぶりに同窓会に参加した私の登場にどっと会場が湧いた。
「おいおいおい、何年待たせたんだよ!久しぶりだなこの野郎」
「会いたかったです、元気そうで何より!」
思い思いの言葉でもみくちゃにされそうになりながらも、大好きなこのメンバーと再び会えた嬉しさがこみ上げて来る。
座って座ってと案内されたのはテーブルの真ん中あたり。
久しぶりに話したい人がたくさんいるため、この位置はとてもありがたい。
しかし問題は隣に恭さんが座っているということだった。
コンペが8月の上旬に行われたということもあり、恭さんとの商談がないままお盆休みを迎えた。
せっかく仕事が成功して恭さんとのビジネスパートナーとして関係も上手く築けたと思っていた矢先に、また気まずくなってしまうなんて。
そして何よりも不安だったのは自身の恭さんへの想いがまた燻りだしてしまったことだった。
電話口での恭さんの切なげな声を聞いた時、胸が締め付けられるような思いがした。
順調に恭さんへの気持ちを忘れていけていると思っていたのに。
それでもこのお盆休みの間でしっかりと気持ちの整理ができるとそう思っていた。
しかし困難な課題は急に降りかかってくるものである。
お盆休み初日、溜まった録画を片付けてしまおうと家でくつろいでいると、大学時代のサークルのLINEが動いていた。
『明日の同窓会、18時に新宿 居酒屋松丸』
そのメッセージを見て愕然とした。
わ、忘れてた…。
7月中旬頃、お盆休みに同窓会をやるとの知らせを受けて、私は確かに出席すると幹事に告げていた。
今更断ることなんかできないし、みんな久しぶりに私の顔を見られるのをすごく楽しみにしていると言われてしまった。
おそらく恭さんも参加するだろう。
「ああ、どうしよう…。」
口をついた情けない独り言が静かな部屋にこだました。
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憂鬱な気持ちを拭い去れないまま、無情に時はすぎるもので。
重い足取りで会場にやって来ると、既にほとんどのメンバーが集まっていた。
時間にルーズな人が多いサークルだったが、皆社会人となって改善されたようだ。
私が座敷に近づくと、一学年下で可愛がっていた湊と目が合った。
「詩織さん!久しぶりっす!うわあ、なんか感動する!」
湊の大声で一斉にみんながこちらを向き、実に5年ぶりに同窓会に参加した私の登場にどっと会場が湧いた。
「おいおいおい、何年待たせたんだよ!久しぶりだなこの野郎」
「会いたかったです、元気そうで何より!」
思い思いの言葉でもみくちゃにされそうになりながらも、大好きなこのメンバーと再び会えた嬉しさがこみ上げて来る。
座って座ってと案内されたのはテーブルの真ん中あたり。
久しぶりに話したい人がたくさんいるため、この位置はとてもありがたい。
しかし問題は隣に恭さんが座っているということだった。