片思いのあなたに再会してしまいました

あのとき恭さんの隣にいた槙さんにも、片倉さんとの会話は聞こえてしまっていたらしく、片倉さんが私の彼氏であることに確信を持っているらしい。
おそらくたくさんの状況証拠が揃っている今、私は変に言い逃れやごまかしはできない。



「槙さんは、私は大学生の時恭さんに片思いしてたってことは知ってますよね。」

槙さんは静かにうなずいた。

「私、結局告白できなくて。
その気持ちをずっと引きずってました。
でもそれが変わらず恋心なのか、それとも苦しくて忘れられないのか、それがよくわからなくて。そんな状況で恭さんと思わず再会してしまったから色々と拗れてしまったんです。
私は恭さんへの思いをちゃんと捨てて忘れるって決意して、片倉さんと新しい恋愛をして、恭さんはあくまでもビジネスパートナーって割り切ろうとしました。
でも結局は目の前の辛いことから逃げ出していただけでした。」

私のこの自分勝手な独白を、恭さんの大親友の槙さんはどのように捉えるのだろうか。
私は膝の上でギュッと拳を握りしめた。
しかし返ってきたのは予想外の反応だった。

「ごめん、石田。本当にごめん。元はと言えば俺が悪いんだ。」

「何言ってるんですか、先輩。先輩は何も関係ないじゃないですか。」

「石田、恭平は大学時代からお前の気持ちに気がついてた。
そしてその上で、あいつが何も行動を起こさなかったのは、俺のせいなんだ。」

私は目の前の槙が何を言っているのか全く理解が追いつかない。
困惑している私をさらに追い詰めるように、槙は言葉を続けた。

「大学時代、俺が石田のことを好きだったからなんだ。」