片思いのあなたに再会してしまいました
その後しっかりと体調を治してサークルの同窓会に参加した際、私はいなかった。
私がフタバフーズに入社したことはこのときに人伝で聞いたらしい。
その後の会合にも相次いで顔を見せない私のことを、沙織や真帆の反応を見てきっと自分が原因なんだろうと思ったという。

そして私は地方勤務が決まり、それから5年間全く会うことはなかった。

自分が何も行動を起こすことができなかった不甲斐なさのせいで、私が大好きな仲間と会えないような状況を生み出してしまった。
そして私がとうとう大親友の真帆の結婚式の二次会に現れなかったことが決定打となった。

「あいつ、酔っ払うとよくこの話するんだよ。
石田と再会したあたりからさらに頻繁になった。恭平は優しいから素面で俺の前でそんなことは言わないけど、酔っ払った時はなんかリミッターみたいなのが外れるんだろうな。
忘れられない愛情なのか、罪悪感なのかわからないってさ。」

私は槙の話を聞いて涙が止まらなかった。
恭さんに自分のものに似たそんな苦しい想いを抱かせてしまっていたことが本当に申し訳なくて。
それなのに私は自分のことばっかりで。

私がもし仲の良い後輩として何も変わらない様子で振る舞えていたら彼をここまで追い詰めなかったんじゃないか。苦しめなかったんじゃないか。
彼があんなに切なげな声を出すこともなかったんじゃないか。

ごめんなさい、ごめんなさい。
あなたの気持ちを考えずに、自分勝手に振る舞ったこと。
あくまでもビジネスパートナーなんて言って、ずっとあなたと向き合うことを避けたこと。

そして大好きです。
自分よりも他の人の幸せを願って、他の人のために自分を苦しめてしまうほど優しいところ。
それが今も変わらず、私の気持ちを優先してくれてその苦しさに耐えているところ。

私はスカートの裾を握り締めて、槙さんの存在を忘れてただひたすらに涙を流した。
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