片思いのあなたに再会してしまいました
7.再びお別れになってしまいました
大事な話がありますと電話口で片倉さんに告げたとき、彼はなんとなく察したのだと思う。
「その話はきっと直接した方がいい話だよね。静かで落ち着いたカフェとかの方がいいね。」
片倉さんは次私と会うのは、初仕事が成功した記念のデートだと思っていたはずだ。
しかしその予想を裏切る私の深刻そうな声のトーンにもことさら驚いた様子は見せなかった。
それはカフェで対面したときもそうで、ただひたすらに謝る私にも特に感情の振れ幅を感じさせなかった。
「詩織は正直だね。
まだ4ヶ月弱しか付き合ってないし、そもそも付き合ってたなんて言えるのかわからないようなことしかしてないんだから、好きになれそうにないとか上手い言い訳をすればいいじゃん。」
「ちょっと前までの私ならそうしたかもしれません。逃げることが得意でしたから。
だけど今はそのせいですごく後悔してます。
もう同じことはしたくないんです。」
片倉さんはそっか、と言ってアイスコーヒーを飲み干した。
「じゃあこの話はおしまい。
俺たちも元の同僚に戻ろう。
別に気まずいから異動しようとか考えないでね。
君は我がチームの大事な戦力なんだから。」
彼はいつものようににっこりと微笑み、そして聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で
「俺は君がうらやましいよ。」
そう呟いて颯爽とお店を出て行った。