片思いのあなたに再会してしまいました
すると真帆の言葉に大きく頷いた沙織は私の手をぎゅっと握って、真剣な目で私を見つめる。

「そうだよ。後悔したくないんでしょ。
詩織はあんなに素敵な片倉さんを振って、そうしてまで恭さんに想いを伝えようとしたんでしょ。
そこには別に付き合いたいとか2人の将来のことを計算していたなんてことはなかったでしょ。」

2人の言葉は冷え切っていた私の心の中に暖かく染み入ってくるようだった。

ただ漫然と、再会を果たしたこれからはもう離れ離れになることはないと勝手にたかを括っていたのは私。
どんな関係性になったとしても、しっかりとお互いの存在を近くで感じられるということに甘えていたのかもしれない。

もしかしたら一生会えないのかもしれないけど、なら一層ちゃんと言葉にして伝えないといけない。

「私、ちゃんと言うよ。
恭さんが遠くに行ってしまうことがとても悲しくて、どうして好きって気づいた後なのにって思ってひどく落ち込んだけど。
だけど残された時間が少なくても、どんな悲惨なお別れになっても、ちゃんと言う。
もう私も後悔したくない、そして恭さんにももう何も気にすることなく新しい環境で頑張ってほしい。」

そう言葉にすれば気持ちは思ったより晴れやかだった。
恭さんがずっと遠くに行ってしまう悲しみは依然として大きいけれど、商談の日から何も考えられなかった状態からは大きな進歩だ。
沙織と真帆という、私以上に私を理解してくれている親友たちのおかげだ。

「2人とも、ありがとう。」

心からの笑顔でそう告げると、2人も嬉しそうに笑った。
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