片思いのあなたに再会してしまいました
「恭さん、いえ柴田さんは確か証券会社に就職されたのではなかったでしたっけ?」

「あー、まあ話せば長くなるんだけど3年前に思い切って転職してね。2年前からフタバフーズさんが担当になったんだけどその頃から日野さんにはお世話になってて。たくさんしごかれたよ。」

「しごいた甲斐があって、柴田さんも今ではやり手だもんね。柴田さんなら安心して石田さんを任せられるわ。今度はあなたがしごいてあげてね。」

恭さんと日野さんが笑い合い、私はお手柔らかになどとしか言えなかった。

改めて名刺交換をして、その日は簡単に引き継ぎが行われただけで終了となり、会議室を後にしようとすると、恭さんに話しかけられた。

「なあ、積もる話もあるし、今度飲みにでも行こう。」

彼はくいくいっとジョッキをあおるジェスチャーをする。
私は是非と笑顔で答え、軽く一礼をしてその場を去った。
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