片思いのあなたに再会してしまいました
*
ある土曜日の朝7時
まだまだ残暑は続くと言えども、朝方はすでにひんやりとして秋の足音が聞こえてくる。
冷えた空気は私の心を研ぎ澄ましていくようだった。
私たちはあの夜、未来の約束なんてしなかった。
お互い待ってるも、待っていて欲しいも言わず、ただひたすら抱きしめあっていただけで。
私もそのことに対して幸福こそ感じれど、焦りとか悲しみは覚えなかった。
彼は今日出発する。
いつ帰ってくるのかなんてわからない。
もしかしたらずっと向こうに行ったままかもしれない。
けれどひとつ確かなことはわたしたちの道はここで別れるということだった。
きっと彼のぬくもりにもう触れられないことに、泣きむせぶ夜もあるかもしれない。
だけど、それでも以前よりははるかに幸せだと思った。
私はもう恭さんへの想いの確かな形を知っている。私はもう前を向ける。
だから空港への足取りは軽やかだった。
出発ロビーは人がごったがえしていた。
私は目的の人物をきょろきょろと探し回っていると背後から石田!と声をかけられた。
「恭さん、おはようございます。」
彼はすでに荷物を預けたようで身軽だった。
2人で朝ごはんを食べることになり、滑走路が見えるカフェに入った。
とまっている沢山の飛行機を見て、恭さんの乗る飛行機もこの中にあるのかなと思った。
あと3時間後、彼は日本から飛び立つ。
「本当に行っちゃうんだなぁ」
ひとりごとのようにぽつりと呟くと、恭さんは私を見つめて
「さみしくなるなぁ」
とまたひとりごとのように呟いた。
そのままカフェでは取り留めのない話ばかりをした。
まるで1週間後にひょこっと帰ってくるような、そんな感覚をおぼえてしまいそうなほど、いつも通りの日常だった。
ある土曜日の朝7時
まだまだ残暑は続くと言えども、朝方はすでにひんやりとして秋の足音が聞こえてくる。
冷えた空気は私の心を研ぎ澄ましていくようだった。
私たちはあの夜、未来の約束なんてしなかった。
お互い待ってるも、待っていて欲しいも言わず、ただひたすら抱きしめあっていただけで。
私もそのことに対して幸福こそ感じれど、焦りとか悲しみは覚えなかった。
彼は今日出発する。
いつ帰ってくるのかなんてわからない。
もしかしたらずっと向こうに行ったままかもしれない。
けれどひとつ確かなことはわたしたちの道はここで別れるということだった。
きっと彼のぬくもりにもう触れられないことに、泣きむせぶ夜もあるかもしれない。
だけど、それでも以前よりははるかに幸せだと思った。
私はもう恭さんへの想いの確かな形を知っている。私はもう前を向ける。
だから空港への足取りは軽やかだった。
出発ロビーは人がごったがえしていた。
私は目的の人物をきょろきょろと探し回っていると背後から石田!と声をかけられた。
「恭さん、おはようございます。」
彼はすでに荷物を預けたようで身軽だった。
2人で朝ごはんを食べることになり、滑走路が見えるカフェに入った。
とまっている沢山の飛行機を見て、恭さんの乗る飛行機もこの中にあるのかなと思った。
あと3時間後、彼は日本から飛び立つ。
「本当に行っちゃうんだなぁ」
ひとりごとのようにぽつりと呟くと、恭さんは私を見つめて
「さみしくなるなぁ」
とまたひとりごとのように呟いた。
そのままカフェでは取り留めのない話ばかりをした。
まるで1週間後にひょこっと帰ってくるような、そんな感覚をおぼえてしまいそうなほど、いつも通りの日常だった。