片思いのあなたに再会してしまいました
「大丈夫です。お世話になった先輩なんです。先輩相手に色々と条件を交渉したりするのは、知っている仲だからこそ少しやりづらいんじゃないかなと、なんとなくそう思ってしまって。」

私は少し困ったように笑ってみせた。
決して嘘ではない。
自分の私情を全て抜きにして、一営業員として答えればこれが全て。

「そう、それなら平気よ。柴田さんは大人だからそこらへんはちゃんとやってくれるわ。私もサポートするし………。その他にも困ったことがあったら、なんでも相談してくれていいからね?」

「はい、ありがとうございます!心強いです。」

何も聞いてこない日野さんの優しさに甘えて、とりあえずはしっかりと仕事をしよう。
今まで恋愛に脇目も振らずに仕事に取り組んできた。これから恋愛とか結婚とかがうまくできるとはなんとなく思えない。
私には仕事が全て、だからこのことも今後のキャリアのための第一歩なんだ。
ちゃんと仕事をしよう、先輩のことなんて気にしないで。
今までも蓋をしておけたのだから、これからもきっとできる。
そう決意をした私は、エブリデイとの仕事について日野さんと徹底的に話し込んだ。
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