貴方の彼女になれますか
『ん、こっち』
駅から学校までの道。
車道と反対側に誘導されるのも、彼の中では当たり前なのかもしれない。
でも、私は彼女としてそのポジションにいたいんだよ。
[かけるーーーーー!]
「うわ、うるさ(笑)」
笑いながら振り返ると、犬のように走ってくる佐々木。
[あ、彩もいた!]
「オマケみたいに言わないでよ」
[だって、彩ちっちゃくて見えないんだもん!]
「佐々木とそんな変わらないですー」
その隣で頭一つ出てる翔は笑う。この2人と過ごすのが、私の大学での日常。
『俺、購買行ってから教室行くわ。どこだっけ』
「202だよ。後ろ取っとくね」
『さんきゅ』
レポート用紙切らしてたって昨日言ってたからそれかな?なんて。
[ねえ、もしかして邪魔した?]
「そんなことないよ」
[2人だって分かってたら後ろから見守ってたのに]
「別にそんな気遣われても、困る」
佐々木は知ってる。私が翔のこと好きだって。いつもこうやって、さりげなく後押ししてくれようとするけど、私は今の関係を変える一歩を踏み出す勇気が、ない。