貴方の彼女になれますか

[先輩?]
〈んー?〉
[引退しても遊びに来てくださいね?]
〈なに、寂しいの?〉

はは、っていつもみたいに笑う先輩。

[寂しいです]
〈はは、そんな事しなくても、会ったら声かけてくれるでしょ?〉
[…でも、寂しいんで]
〈酔ってんの?〉
[飲んでないっすよ]
〈なんか今日、元気ないね〉
[そんなこと、ないです]

今は俺が1番近いはずなのに、なんでこんなに遠く感じるのかな。

〈佐々木くんが元気じゃないと、調子狂うな、〉
[…]

いつもと違う空気に、先輩も困ったように笑った。
そんな顔させたいんじゃない。俺にも、俺にしか見せてくれないような笑顔、欲しいのに。

[先輩]

今日で会えなくなるわけじゃない。
でも、この夏は、先輩との最初で最後の夏。

[アイス!買いに行きません?コンビニまで!]
〈わ!いいね、食べたいかも〉
[行きましょ!]
〈待って、私、財布部屋だ〉
[いいっすよ、俺持ってるんで]
〈いやいや、後輩に奢られるわけには〉
[女の子は、男に奢られとけばいいんすよ?]
〈はは、かっこいいじゃん〉
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