貴方の彼女になれますか

ちょっと近くのコンビニまで。
それが、あなたと出来る精一杯のデートかな。
通りまで出れば、コンビニまでは交差点2つ分くらい。
後ろから誰も来ていないことを確認して、小さな手をつかんでみた。

〈佐々木くん?〉
[…先輩酔ってるから、転ばないように]
〈…うん、ありがと〉

もう、きっと気づいたよね、先輩。
気づかないフリして、俺に付き合ってくれる先輩はほんとずるいね。

〈これにしよっかな!〉
[うわ!遠慮ないっすね!]

先輩は本当に俺に一番高いのを買わせて、俺はその隣のにした。
〈ねえ、ここから海近いんだよ?〉って先輩は連れて行ってくれた。

〈いいなあ、佐々木くん〉
[何がですが?]
〈あと3年半も学生残ってるんでしょ?〉
[そうっすね]
〈ここにあと3回は来れるよね〉
[でも、来年からは先輩がいないです]
〈はは、そうだね〉

溶け始めてるカップアイスに、2人で木のスプーンを突き刺しながら真っ暗な海に目をやり、波音を聴いた。

〈学生楽しむんだよ、たっくさん〉
[なんかそれ、おばさんみたいっすよ]
〈え、そう?(笑)〉

まあ、佐々木くんよりはおばさんかな?なんて笑う。
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