貴方の彼女になれますか

(ねえ、お前らどーなの?)
(どうもこうもないよ?)
(うわ、今なんか隠しただろ!)
(なんもないってば~!)

程よくみんな酔いが回ってきた頃、同期内カップルがいじられ出す。自然と隣に座って、彼女が飲みすぎないように気遣いが見え隠れする。いじられたって、満更でもない様子で笑う。羨ましく思う気持ちを隠すようにグラスをかたむけた。

[彩ペース早くない?]
「佐々木、飲んでないのにそのテンションはエグい」

いつも思うけど、アルコールが苦手な佐々木はノンアルで、でも私よりいつもハイ。
こいつどうなってんの、

[ハハ!まあ、潰れたら俺がどうにかすっから!]
「信用ないなあ」

なんて言いながらも、安心して酒を流し込む。翔がいないんだもん、今日ここにいる意味もあんまりない。

(お前らもさ、そーゆー話ないわけ?いつも仲良いけど)
[え?俺ら?]

話の矛先が私と佐々木に向いた。佐々木と目を見開いて思わず顔を見合わせた。

[「ないない!」]

見事に声が揃ってしまって、さらに冷やかしの声が飛んだ。

「いやまって、なんでそう思ったの?」
(いつも一緒じゃん)
「それは翔もじゃん」
(じゃあ、彩はどっちが好きなの?(笑))
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