貴方の彼女になれますか

『彩出来上がってんじゃん、誰だよ飲ませたの(笑)』
(自分で飲んだんだよ!俺飲まされてんだけど)
『おーおー、じゃあ俺が相手になろうか?』
(なんでだよ!)

目の前の私のグラスが奪われる。さっきまで私と飲んでいた相手は、今度は翔と飲み始める。さっきまで私と飲んでいたせいで相手の男はあっという間。

「ちょ、私が飲んでたんだけど」
『お前さすがに飲みすぎ、佐々木に聞いた』
「は?連絡したの?」
[え?あ、うーん、うん!]
『飲み足りないならウーロン茶飲んで』
「ソフドリじゃん」
『はは、バレた?(笑)』

相変わらずお酒は翔の手にある。代わりに出されたウーロン茶。佐々木と翔に挟まれ、さっきまでのテンションが一気に冷める。
狭い座敷の一番奥。席ではないその隙間に座る翔。もう少し可愛い飲み方出来たらいいんだけどな。酔って甘えられたら。ほら、あのカップルはあんなに距離が近くて、女の子は顔が赤くて、机の下で手なんか繋いでるのかな。

『彩、酔った?元気ない?』
「ん?いや?平気だよ?」
『…そ』

素っ気ない返事に少し寂しさを覚えながら、ウーロン茶を流し込む。

(そろそろお席の時間が…)

1軒目を追い出され、みんなで二次会どうする?なんて盛り上がってる後ろの方で翔に腕を引かれた。
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