貴方の彼女になれますか

『お前は帰んぞ』
「え?翔行かないの?」
『お前が帰るから帰る』
「私帰るって言ってないんだけど」
『俺と帰んの』

嬉しくてちょっと頬が緩むのに、素直に帰ろって返せずに「二次会行こうよー」なんて言ってみるけど、皆に『俺ら帰るわ』って声を張る。

『送るから、帰ろ』

えー帰るのー?なんて声が聞こえるけど、そんな声に背中を向けて、先を行く翔の背中を追った。

「翔、来たばっかだったのに」
『別に、飲みたくて来たわけじゃねーし』
「じゃあなんで来たの?」
『…佐々木が、お前が潰れそうって言うから』

…私のために来てくれたの?

前を向く翔の表情は分からない。でも今は酔ってるのを言い訳に、いつもは踏み込めない領域に足を突っ込む。

「それがさ、私じゃなくても来た?」
『…』
「…答えてよ」
『…どうだろ、』

曖昧にされた答え。ああ、聞かなきゃよかった。
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