出逢いがしらに恋をして
 まだラッキーは続いていたみたい。

「は、はい。もちろん」

 うわ、なんか緊張する。

「家、どの辺なの?」

 固くなっているわたしをよそに、
 宮沢さんは今日が初対面とは思えない親しげな調子で、話しかけてくる。

「えっと、三軒茶屋です」

「ホント? 俺、隣の駒沢大学。あの辺住みやすいよね。緑も多いし」

 えーっ!と心のなかで絶叫した。

「本当ですか?」

「ああ。偶然だね」

 最寄り駅が近いなんて。

 やった。

 たまにこうして一緒に帰ることができるかも。
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