出逢いがしらに恋をして
 電車に乗ってからもドキドキしてまともに話の出来る状態ではなかったけれど、

 宮沢さんがあまりにも気さくに話しかけてくれるので、
 だんだん気持ちが落ち着いてきた。

 まだ午後7時を少し過ぎたところ。

 電車はほぼ満員。わたしが扉を背にして立ち、その前に宮沢さんが立った。

「今回のプロジェクト、どう思う?」

「すごくいいと思います。もう環境問題、待ったなしですから。
 そういう仕事に携われて光栄だと思ってました」

 宮沢さんは顔をほころばせた。

「嬉しいな。そう言ってもらえると。
 余計な仕事を増やすなって、文句言われるかと思った」

「そんなこと。でも宮沢さん、初期の企画段階から携わられたんですよね。すごい」

「たまたま入社のタイミングが良かったんだよ。
 向こうで環境政策を学んできたところで、会社もそういう人材を求めてたとこでさ」
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