出逢いがしらに恋をして
 「すこし打ち合わせが長引いてしまって」と婉然とほほえみながら、
 亜矢美さんは宮沢さんに話しかけた。

 「まだ始まったばかりですよ」

 すかさず、宮沢さんが亜矢美さんのグラスにワインを満たし、
 ふたりはグラスを合わせた。

 思わず溜息が漏れる。

 まるで映画の1シーン。

 あまりにも美しすぎる。

 やっぱり、部内の女子で、宮沢さんの隣に座って一番しっくりくるのは亜矢美さんだ。

 こう、現実を見せつけられてしまうと、否が応でも気持ちが沈む。

 それにつれて、お腹もますます痛くなっていた。

 昼に飲んだ薬が切れたかな。

 ううっ、ちょっと吐き気もする。

 心身ともに辛くなってきた……。

 テーブルに並んだ美味しそうな料理にほとんど手をつけらず、
 宮沢さんを囲んで楽しそうに談笑する人たちを離れた席から眺めながら、
 わたしはひたすら大人しくしていた。

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