出逢いがしらに恋をして
 そんなことを考えていたら、ますますお腹が痛くなってきた。

 作り笑いもだんだん辛くなってきて、中座してトイレに立つことにした。

 洗面台の鏡に映るわたしの顔は、体調が悪いことを差し引いても、あまりにも冴えない。

 宮沢さんに限らず、誰だって亜矢美さんを選ぶよな。

 それにしてもこの顔色。

 マジでやばいかも。

 二次会はパスしなきゃ。

 焼け石に水とも思ったけれど、とりあえず口紅だけは直して、扉を押して外に出た。
< 26 / 99 >

この作品をシェア

pagetop