出逢いがしらに恋をして
「既存店じゃないとだめなんですか?」

「いや、そんなことはないよ」

「さっき、ちょっと思いついたんですけど」

「なに?」

「あの、福祉作業所ってあるじゃないですか。障がい者の就業を支援する」

「うん」

  宮沢さんが続きを促すように、瞳を輝かせてわたしの顔を見つめる。

 丸1日一緒に過ごしたおかげで、前ほどドキドキしないけれど、
こうして改めて真正面から見つめると、やっぱり顔の造作の見事さにはっとしてしまう。

 緊張で声が上ずらないように注意しながら、話を続けた。
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