出逢いがしらに恋をして
***

「どうしよう。沙織〜」

 翌日、宮沢さんから企画書を任された件を沙織に話した。

 沙織は、真顔でわたしをじっと見つめて

「どうせマネージャーの笑顔にほだされたんでしょ」と言った。

「やっぱ、わかる?」

「顔に書いてある」

 昨日は、宮沢さんに頼まれたこと自体(それに一緒に仕事ができることも)
が嬉しくて深く考えなかったけれど、
一晩経って、実に大変なことを引き受けてしまったと、いまさら気づいた。

「しょうがないなー。ちゃんと考えてから返事しないと」

「おっしゃる通りで……」

 沙織はうなだれるわたしをちょっと笑ってから

「でも、そのひよりのアイデア、いい線いってると思うよ。
宮沢マネージャーだって、この忙しいときになんの見込みもないことに時間は割かないよ。
いい機会だから、思いっきりシゴいてもらえばいいよ」
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