出逢いがしらに恋をして
第5章
「高橋さん。目の下、クマできてる」

「ここんとこ、寝不足で」

 坂上大志がコーヒーを手にわたしのところにやってきた。

「ありがと。坂上くんが入れてくれるなんて珍しいね」

「高橋さん、最近頑張ってるからさ。陣中見舞い」

「サンキュ」

 ふたりで向かい合ってコーヒーを啜る。

 わたしはふーっと大きく息をついた。

「例の仕事進んでる?」

 大志が訊いてきた。

「うん、仕事は順調」

「ってことは、恋のほうは多難か」

「うん。ってか、最初から希望ゼロだし。
でも、一緒にいる時間が長いとあきらめるのも難しいっていうか」

「最近、あのふたり、接近してるみたいだしね」

「うー」

 それを聞いて、わたしは机に突っ伏した。
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