出逢いがしらに恋をして
 6月15日。今にも降りだしそうな曇り空。

 今日の天気のように心は落ち込んだままだったけれど、
そんなわたしの気持ちにはお構いなく、プレゼンの日はやってきた。

 出社すると沙織と坂上くんがわたしの席まで来てくれた。

「今日だね。プレゼン」

「もう、お偉方が居並ぶなかで恥をかくイメージしかない」

  このふたり相手だと、つい弱音を吐いてしまう。ああー、やっぱり無理―。

「でも、めちゃめちゃ頑張ってたじゃん。マネージャーも熱心だったし。行けるって。大丈夫」

「そうそう。よく残業もしてたし」

「うん、そうだね。ね、ふたりでお疲れ会してくれる?」

「わかった。じゃあ、土曜日にランチ行こうか」

「ぼくも開けとく」

「ありがとう」

 よし。

 そのときに沙織と坂上くんに思いっきり吐き出して、
仕事にも恋にも一区切りをつけよう。
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