出逢いがしらに恋をして
 エレベーターで出会ってからの毎日。
 
 宮沢さんのことを想わない日はなかった。

 きっと、宮沢さんと過ごしたこの1ヶ月は、
そんなわたしを憐んだ神様からのささやかな贈り物だ。

 これ以上望んだらバチがあたる。

 今日のプレゼンが終わったら。

 きちんとおふたりのことを祝福しよう。

 そう、心に決めた。

「そろそろ行こうか」

 持っていく資料を確認していると、宮沢さんから声がかかった。

「はい」

 沙織と坂上くんが目線でエールを送ってくる。

 ふたりに向かって小さくガッツポーズをして、わたしはオフィスを後にした。




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