出逢いがしらに恋をして
 わたしがびびっているのに気づいたのか、
宮沢さんが、パソコンをチェックする振りをして、わたしの側に来てくれた。

 そして、小声で頑張れって言って、ぽんと背中をひとつ叩いた。

 たったそれだけのことで、魔法をかけられたみたいに、すとんと気持ちが落ち着いた。

 それから、彼はわたしの対面の壁際に立ち、優しい眼差しをわたしに向けた。

 あそこで、大好きな宮沢さんが見守ってくれているんだ。

 そう思うだけで、プレゼンをおそれる気持ちは半減した。
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