出逢いがしらに恋をして
「お疲れ」

 しばらくして、元上司に呼ばれていた宮沢さんが戻ってきた。

「マネージャー……ちゃんとできてましたか、わたし」

 彼は極上の笑みを浮かべた。

「いいプレゼンだったよ。きみなら、素晴らしいプレゼンをしてくれるって分かってはいたから、心配してなかったけどね」

「良かったー。ほっとしました」

 力が抜けて、その場にへたり込んでしまいそうになる。

 心の底から嬉しい。でも同時に身体がよじれるほど切ない。

 彼のアシスタントとしての仕事はこれで終わりだから。

 もう、ふたりで打ち合わせをすることも、残業することもなくなるんだ。

「ひよりちゃん」

 宮沢さんはわたしの正面に立って、座っているわたしに手を伸ばしてきた。

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