出逢いがしらに恋をして
 握手?

 ああ、ねぎらいの握手ってこと?。

 なんか、寂しいな。

 これで最後って言われてるみたいで。

 そう思いながらもわたしは立ち上がり、彼の大きな手を握った。

 暖かい……な

「ありがとうございます。マネージャーのご指導のおかげで……」

 わたしの言葉が終わるのを待たずに、彼は握った手を強く引いた。

 気づくと、そのまま抱きしめられていた。

 えっ?

「み、宮沢マネージャー」

 彼はわたしの髪に顔をうずめて言った。

「そんな社交辞令はいらないよ」

  そして、切なげにため息を漏すと、その勢いのまま、言った。

「きみが好きだ」

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