出逢いがしらに恋をして
「でも、残念じゃないんですか」

 わたしは気になっていることを、思い切って言ってみた。

「亜矢美さんはあんなに素敵な人だし、それに常務のお嬢さんと結婚したら……」

 宮沢さんにわたしの言おうとしていることがわかったらしい。

「こら、やめてくれよ」

 宮沢さんは話を遮った。

「亜矢美さんと結婚したら、出世に有利とか、そんな馬鹿なこと言うなよ。
出世したければ、そんなコネなんかじゃなく、自力でする」

それから、彼は手を伸ばし、わたしの手に重ねた。

「俺にとって、世界で一番可愛くてずっと一緒にいたいと思ったのは、ひよりだよ。
今日、きみの気持ちが分かったとき、俺がどれだけ嬉しかったか」

 そう言って、手に力を込めた。

「マネージャー……」
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