俺の。
バッと振り向くと、そこにいたのは中学時代の同級生の祐介。


「やっぱり…」
私がそう呟くと、祐介は怪訝な顔をした。

「なにがだよ?」

「いや?こんな煩い声を出す人間はこの世に祐介しかいないと思った感じ?」

あえて、疑問形で返してやった。

後ろでムキーッとか古いリアクションをしてる祐介を鼻で笑ってやった。

こっちはあなたにかまってるほど、心に余裕がないんです。


「ってかさー!」

また聞こえる煩い声。

「…なに?」

「おまえら、付き合ってるってマジだったんだな!」

え?
知らなかったの?
っとか、思ってみたけど、よく考えたら付き合ったのは高校入ってから。

「うん。」

「っはー…。てっきりまだ雅の片思いだと思ってたわ。」

ん?"まだ"?
「まだって…「ちょっ!ストーップ!!」

そういいながら、今まで存在感nothingだった雅がでしゃばってきた。
………こら。

「しかもこいつさー!」

何事もなかったように話し続ける祐介。

「毎朝、この時間に駅であうんだけどさっ!"なにしてんの?"って聞いたら、"まな待ってんの"って言うからさ!」

「ちょっ!!」
やっぱり遮ろうとする雅。

そんなこともお構い無しに祐介は話を続ける。

「でもさ、いっつも一人なんだよね。俺が寝坊して遅くなっても、まだいてさ!"まなは?"っつったら、"あと15分でくる!"とか満面の笑みでゆーの!」

……。

「でも、ただのストーキングかと思ってた!」

「ちょっ、おまっ!」
やっぱり焦って遮る雅。

「だけど、今日一緒にいるの見れてよかった。」
ハハッと笑いながら言う祐介の顔は、今まで見たことのないほど、優しい顔だった。


祐介の言いたい事は分かったし、雅も分かっただろう。

じゃっ!っと調度きた普通電車に乗る祐介を見送った2人の間に沈黙が訪れた。
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