レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「これはあくまで,わたしの考えに過ぎません。聞くか聞かないかはあなたにお任せします。――ただ,あなたを苦しめることになるかもしれませんが……」
「何でしょう?仰って下さい」
ためらうリディアに,覚悟を決めたらしいカルロスが懇願する。
「……わたしは,あなたが王として即位し,サルディーノ様には政治から手を引いて頂いた方がお国のためにもいいと思っています」
「は……?」
カルロスは困惑していた。それは,伯父を庇いたいからなのか,伯父を恐れているからなのか。
「昼間伺ったお話によれば、あなたは形だけの王で,伯父上であるサルディーノ様が実権を握っているとか。それは,王国として非常に危うい状態です。彼はいずれ,甥であるあなたをも抹殺し,自ら支配者として君臨することでしょう。それは事実上,王族の権威が失墜することを意味します」
「何でしょう?仰って下さい」
ためらうリディアに,覚悟を決めたらしいカルロスが懇願する。
「……わたしは,あなたが王として即位し,サルディーノ様には政治から手を引いて頂いた方がお国のためにもいいと思っています」
「は……?」
カルロスは困惑していた。それは,伯父を庇いたいからなのか,伯父を恐れているからなのか。
「昼間伺ったお話によれば、あなたは形だけの王で,伯父上であるサルディーノ様が実権を握っているとか。それは,王国として非常に危うい状態です。彼はいずれ,甥であるあなたをも抹殺し,自ら支配者として君臨することでしょう。それは事実上,王族の権威が失墜することを意味します」