レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
王妃の親族であるサルディーノには本来,王になる資格,つまり権力を振るう資格はないのだ。
「それで……,私はどうすれば……?」
思った以上にショックを受けている様子のカルロスは,うろたえながら皇女に問う。
「先ほども申し上げた通り,あなたが国王に即位なさることが第一です。形だけの王ではなく,本当の意味での国王に。そのうえで,国王としてサルディーノ様をお(さば)き下さい」
スラバットの法において,王族を裁くことができるのは国王だけだ。――ここに来る少し前に,リディアは父からそう聞かされた。
カルロスは正統な王位継承者である。彼が国王として即位すれば,同じ王族であるサルディーノを排斥することも,裁くことも可能となるはずだ。
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