レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「強い,想い……」
リディアは大きく頷く。そして,こう続けた。
「誰だって,守りたいものさえあれば,人は強くなれるんです。あなたにだってあるはずですわ」
スラバットという国を,そこに暮らす民達を,「守りたい」という強い意志(おもい)が――。
「――私に,できるでしょうか?」
「ええ,カルロス様なら,きっと」
愛する母国を守るために,民を苦しめ権力を(むさぼ)る宰相――自らの伯父を排除すること。そのために,国王になること。
「分かりました。帰国したら早速,重臣達に宣言します。『そなたらが仕えるべき王は,伯父ではなくこの私だ』と」
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