レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
一人で起きようとする彼女の背中を支えてから,デニスは水を注いだグラスを彼女の手元へ持っていく。
リディアは小さなグラスの水を,一気に飲み干した。それだけで,血の気を失っていた彼女の頬に,みるみる赤みが戻っていくのがデニスにも分かった。
「もう一杯飲むか?」
「ううん,もういいわ。ありがとう」
彼女は空になったグラスをデニスに手渡しながら,微笑む。そして,気を失う前の最後の記憶がふと蘇る。
「――ねえ,デニス。あの後,サルディーノはどうなったの?」
リディアは刺客が捕えられた直後に気を失って倒れたため,その後の記憶が全くないのだ。
「あのオッサンは,あの後すぐに強制送還を命じられたよ。で,この国の法では裁けないから,国に還されてから,あの王子が責任持って裁くってさ。国王として」
「カルロス様,『国王だ』って仰ったの?」
「ああ。あの伯父貴に面と向かって啖呵切ってたぜ。『スラバットの国王は伯父上ではなく,自分だ!』ってな。立派だったぜ」
リディアは小さなグラスの水を,一気に飲み干した。それだけで,血の気を失っていた彼女の頬に,みるみる赤みが戻っていくのがデニスにも分かった。
「もう一杯飲むか?」
「ううん,もういいわ。ありがとう」
彼女は空になったグラスをデニスに手渡しながら,微笑む。そして,気を失う前の最後の記憶がふと蘇る。
「――ねえ,デニス。あの後,サルディーノはどうなったの?」
リディアは刺客が捕えられた直後に気を失って倒れたため,その後の記憶が全くないのだ。
「あのオッサンは,あの後すぐに強制送還を命じられたよ。で,この国の法では裁けないから,国に還されてから,あの王子が責任持って裁くってさ。国王として」
「カルロス様,『国王だ』って仰ったの?」
「ああ。あの伯父貴に面と向かって啖呵切ってたぜ。『スラバットの国王は伯父上ではなく,自分だ!』ってな。立派だったぜ」