レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「そうですわね」
父イヴァンの言葉に,リディアは頷いた。現在の国家元首(げんしゅ)と,次期国家元首の父娘である。カルロスの立場をよく理解できるのだ。
「わたし,明日はぜひ,カルロス様のお見送りをしますわ。デニスと二人で。――ね,デニス?」
「ああ。よろしいですよね?陛下」
「もちろんいいとも。――それでな,その後に,二人の婚約を国民に公表しようと思っているのだ。よいか?」
いよいよ,二人の仲を公にする時がきた。
「ええ!もちろんです!」
喜んで頷くリディアとデニスだったが,続くイヴァンの言葉に二人は凍りつく。
「実はその時に,私はそなたに皇位を譲ろうと思っているのだ」
「え……?」
< 221 / 268 >

この作品をシェア

pagetop