レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
6・皇位継承……(最終章)
リディアは父の口から飛び出した言葉に耳を疑い,デニスと顔を見合わせた。
「お父さま?皇位を譲られる,って……。本気で仰っているのですか?」
「ああ,もちろん本気だよ。そなたに皇帝の位を譲り,デニスには八〇年ぶりに即位する女皇帝の夫になってもらうつもりだ」
冗談を言うのが苦手な父が言うのだから,もちろん本気なのだろう。が,少し早すぎはしないだろうか?
父イヴァンはまだ四〇代の前半である。隠居するには若すぎる。リディア自身も,皇位を継ぐのは二〇代に入ってからだと思っていたのだ。
一体何が,もしくは誰が,父にこれほど早い決断を迫ったのだろう――?
「いや,カルロスどのが国王として即位する旨を聞いてな,私も少し早すぎるとは思ったが,譲位を決断したのだ。リディアもこの国では既に立派な成人だ。即位しても,何ら問題はあるまい?」
「お父さま?皇位を譲られる,って……。本気で仰っているのですか?」
「ああ,もちろん本気だよ。そなたに皇帝の位を譲り,デニスには八〇年ぶりに即位する女皇帝の夫になってもらうつもりだ」
冗談を言うのが苦手な父が言うのだから,もちろん本気なのだろう。が,少し早すぎはしないだろうか?
父イヴァンはまだ四〇代の前半である。隠居するには若すぎる。リディア自身も,皇位を継ぐのは二〇代に入ってからだと思っていたのだ。
一体何が,もしくは誰が,父にこれほど早い決断を迫ったのだろう――?
「いや,カルロスどのが国王として即位する旨を聞いてな,私も少し早すぎるとは思ったが,譲位を決断したのだ。リディアもこの国では既に立派な成人だ。即位しても,何ら問題はあるまい?」