レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「ジョン,どうかしら?」
再び彼女は返事を促す。ややして,決意を固めたらしいジョンが口を開いた。
「もちろん,喜んでお受けします。断るなんてとんでもない!これからも,姫様の忠実な臣下(しんか)として働かせて頂きます」
「ありがとう!これからもよろしくね,ジョン」
子供の頃から,自分とデニス,ジョンの三人の関係はすっかり変わってしまった。けれど,ずっと三人で一緒にいられるのだ。それがとても嬉しくて,リディアは自然と笑顔になったのだった――。

****

――その日の夜。夕食も入浴も済ませた寝間着姿のリディアが,ベッドの上で歴史書のページをめくっていると,コンコンと寝室のドアがノックされた。
(こんなに夜遅く,誰かしら?エマはさっき下がらせたし……)
他の侍女?――リディアは首を捻りつつ,ドアの向こうに「どうぞ」と声をかける。
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